アフリカの超近代国家

私が中近東地域勤務をしていた、かれこれ40年以上前に、仕事仲間と、アフリカのソマリアにハルゲイシャ(春芸者?!)という街があるので是非一度訪問してみたいと思っていました。繊維関係の方は、そちら方面に、たまに出張して、プリント柄の反物を売り歩いていましたが、最近は商売どころではなく、海賊の巣で、アラビア湾から航行して来る船が乗っ取られたりして、自衛隊も船舶サポートのために港湾都市ジブチを基地に、活動していますが、現時点で国家としての体をなしていないといった程度の興味しかもっていませんでした。

最近、朝のNHKのラジオをねぼけまなこで聞いていたら、ドキュメンタリー作家の高野秀行さんという方が謎の独立国家ソマリランドのハルゲイサ(正確にはこの様に表記するようです)のお話をされていて、実に面白い国作りをしているという。

過去の歴史では、英国、フランス、イタリア、エチオピア帝国などに分割統治されていた時代も長く、複雑ですが、最近10年位前から、内戦、分離独立などを繰り返し、結果として、①現在は国際社会からは承認されていないが、西北部のソマリランド共和国、通称ソマリランドと、②角の部分である、東北部で自治宣言した、プントランドソマリア国(海賊の国?!)、③それに南部のモガディシオを首都とするソマリア暫定政府という大きく分けると3つの政府が存在するようです。

その中の、国際的には認証されていない(理由は民族独立運動に繋がる危険があるという?!)ソマリランドが話のネタで、この地域は元々遊牧民族の幾つかの氏族が住んでいて、イスラム教信者で、その議会運営が、二院制で、上院は氏族の長老がメンバー、下院は政党(三党だけが承認されているようです)政治家から形成されますが、制限があって、政党は氏族などの利益代表はしてはいけないという。

いわば下院は一般国民の意見代表で、そこで問題が解決できないときには氏族の長老たちが話し合いで決め、それが最終決定。言ってみれば権威を長老たちに一任しているという事のようです。

たとえ話をされていましたが、ある氏族の人が別の氏族に殺されて保障問題になったときに、下院では解決がつかない場合、上院で長老達が、保証としてラクダ100頭等というような決裁を下すようです。

要するに、基本的に多民族地域ではなく、単一民族だが、各地域に氏族が群雄割拠している状態で、日本の各藩がお互いに競い合って生きていて、問題が起こったら、朝廷にお伺いを立てるといったような構造なのでしょうか。要は権力と権威をうまく分離して、使い分け、それを民(各氏族)は受け入れるといった構図になっているようです。これは下手な民主主義(現在の日本!?)よりはよほど進歩していると思いますが、如何でしょうか?

今はグローバル化という名目の元、「民主主義」という抽象的な?システムを各国の歴史を無視して、押しつけているのが国際社会(国連や国際機関)であって、この辺が、ある意味問題点なのではないかと思います。

昨今日本では憲法改正問題で自民党が張り切っていますが、そもそも憲法は国民が、彼らの暴走を止めさせるために存在するものであって、その縛られる側の方々が、あまり縛られたくないので憲法を変えたいというのは、気持ちは分かるが納得はしにくいですね。一度ソマリランドの上院議員の長老達の意見を聞いてみたいですね。

高野氏が現地に入ってホテルで、日本で紹介されたソマリア人から教えられたとおり、大統領の秘書官に連絡を取りたいと言ったら、ホテルのフロントが、すぐにその電話番号を教えてくれて連絡が取れたり、秘書官がホテルに来てくれたりした話や、ここの外貨収入は、親戚縁者が国外に出ていて、外からの仕送りが外貨獲得の手段であるとか、時代離れのしたお国のようです。

今年の春に出版されたようですがご興味のある方は下記のイントロでチェックしてみて下さい。

■謎の独立国家ソマリランド
http://www.webdoku.jp/column/takano/