自治体の悩み(1)

最近は中央高速のトンネルで、天井のコンクリパネルが落下し、痛ましい事故が起こったり、アメリカで鉄橋が落下し走っていた自動車が川に放り出されたり、この種の事故が多発しています。

話はさかのぼりますが、20年以上前に、出張で初めて!ニューヨークに行ったときに、飛行場から、バングラ出身の運転手のタクシーでブルックリン橋を渡っていたとき、結構混んでいて、のろのろ運転だったので、何気なく窓を開けて下をのぞいたら、舗装部分が剥げて、下の川が丸見えだったので、運転手さんに、「この橋は、下が見えるような構造なのか?」と単純に質問したら、「旦那、ニューヨークも金がないらしいですよ。この程度のところは、ざらにありますよ!」との答えでした。

当時は日本ではまだまだ建設一方でしたが、いずれ日本も、いやもう既に、このような状態があちこちで起こっているはずで、近々、日本でも事故などが起こる可能性は大いにあるはずと思っていました。

最近では橋のような社会インフラのメンテナンスをどうするか、地方自治体でも調査に乗り出し、検討しているようですが、ある自治体では、道路関連の予算が無く、緊急に補修、もしくは掛け替えしなければならない橋がありすぎて、応急処置だけで済まさざるを得ない自治体が多いという恐ろしいレポートも上がっています。

東名高速のコンクリート橋の一部では、補強工事をしようと思っても、作った当時の図面が既に無く、致し方なく、どのような構造かを、非破壊検査で、図面を作り直してから、補強工事を行っているというニュースも耳にしました。

作るときには、発注者側の役所が予算を手当てし、受注者側は入札で、建設請負をし、これが壊れるか、掛け替えられるまで、保守を行うなどという契約にはなっていないので、それ行けどんどんで、業者は当然、経済原則に従って金儲けの事業でもうけて終わり。発注者側も、これが壊れる頃には、担当者は退職していて、おとがめ無し! これが現実ではないでしょうか?

それにしても加藤清正は偉かった?! といっても歴史の教科書ではなく、熊本を旅行した方はご存じかも知れませんが、あそこには熊本城の城壁作りで、多数の石工がその後活躍し、多数の石橋が残っています。取り分け有名なのは通潤橋(つうじゅんきょう)で、農業用水を通すための橋ですが、今でも現役です。建設されたのは江戸時代で今から150年以上前です。

他にも美しい石橋が多数あります。当時はコンクリートだの、PCワイヤーなどが無かったので、石橋を造ったのでしょうが、木の橋を造っても、江戸時代ではちゃんと掛け替えをやっていました。

社会インフラとはこうあるべきだという歴史に学んで、このような時代の変わり目には、仕組みも考え方も、大きく切り替えることが重要なのではないでしょうか?