社内会議

どこの会社でも、大なり小なり社内会議なるものは避けて通れない。課内会議とか室内会議など、同じ仲間との会議であれば、上司から部下へ、あるいは部下から上司への報告や、プレゼンや仲間同士での検討会など様々です。ということで、後は効率が良いか悪いかなどの問題となる。

しかし、私がおもしろいと思ったのは、同じ社内会議でも、それぞれ異なる部門の人たちとの会議では、同じ会社であるにも関わらず、対立構造で話が始まるケースが多い。例えば、営業部と財務部でA国のある案件への投資の話をする場合、財務部としては、A国にはすでに色々投資をしており、カントリーリスクが高く、これ以上投資をするのは問題であり、認可できないと言う。営業としては、是非とも実施したい案件です。

本来ならば、両者とも同じ会社なのだから、出来るだけリスクを無くして、利益を出すというのは共通目的のはず。しかし、財務としては、そのためのカントリーリスクというものを、自分中心で考えて、そのカントリーリスクというものの「物差し」を示さずに、不許可を出す。そこで営業部としては、一体財務部としては、会社として、幾らまでならOKだが、幾ら以上ならだめだと会社の役員からお墨付きをもらった上での発言なのか?といった禅問答のような、返事に困る質問をして、OKを取ろうとする。

所詮会社というものは、一枚岩ではなく、それぞれの部門が、自分たちの役割の中で、自分たちの都合の良いやり方で、仕事を進めているのが現状ではないでしょうか。

若い年代の部下が、どうして村野さんが会議をマネージして、色々議論をすると、嫌な相手や、うるさ型の論客など色々いる中で、最後はこちらの言うとおりになってしまうのはなぜですか? 何か会議の極意でもあるのでしょうか?と聞かれたことがあります。

社内会議に極意などはないが、基本的にそれぞれ相手は自分の部門の立場でもっともなことは言ってくるので、あなたの言っている事は、全く同感ですと言って、相手を自分の土俵に巻き込んだ上で、相手は財務部なら、許可しないことが自分としてはリスクがない、しかし、許可すればリスクの一端は彼らも持たねばならない。

実際には、一件毎に、幾らならOKで幾ら以上ならNOといった決まった数字を持って会議などやるはずもなく、そこがこちらの付け目で、この金額がなぜだめなのかの説明を求めれば、その根拠は極めて漠然としたものしか出てこないわけで、相手の立場のいわばウイークポイントを悪用するわけです。

会社によって、社内会議の中身も千差万別だが、大方のケースでは社内会議などやらなくても、コミュニケーションがしっかり取れるレベルのグループであれば、会議などしなくても用が済むという結論になりそうです。そこで、会議についてのエピソードをご紹介しておきます。

あるとき、部長クラスの人が、会議を主催し、会議が終わった後で、若手の部下が、「Y君、ちょっと総務部長に言って、会議室の窓が開くように改造してほしいと伝えておいて下さい」と言われた。Y君はきょとんとして、「なぜですか?」と単純に聞き返すと、その上司は、「だいたい、窓が開かないのを良いことに、いい加減な発言ばかりしやがって、窓が開くようになったら、そこから外に突き落としてやる!」という事だったそうです。社内会議なんて、大なり小なりこの程度のものだという事だというお話です。

もう一つ、あるエンジニアリング会社のOBの意見は「基本的に社内会議はいらない!」ということです。理由は簡単、「会議などやる前に結論や結果が想定されているケースがほとんど。サボって居眠りするためなら大いに活用したら良いが、そうでなければ百害あって一利なし」というのが結論です。彼が実際にインドネシアの工場長をやっていたときに、ネシアの現地スタッフと会議をやると、ネシア語の特徴もあるのかも知れないが、とにかく言い回しが長くて、時間がかかる。そこで考え出したのが、立ったままの会議。これは結構効率が良かったと言っていました。

さらにもう一つ、先進国と言われるアメリカ人が入った社内会議では、システムなのかどうかは知りませんが、議長をやったアメリカ人が、最後の〆の時に、出席者全員に、名指しをして、あなたはこれで良いですか?と念を押して、終了したということです。これは多分、あのとき私は反対だったとか、後出しじゃんけんが出来ないように、その場で一つ一つ結論を出して確認をする、という文化なのでしょう。

そんなわけで、若手、新人の方々も、会議では大いに発言して、また話し方も、わかり易く、且つ説得力ある話し方を身につけておくことをおすすめします。