国際結婚とハーグ条約

ハーグ条約は、一見リーズナブルな条約のように見えますが、事はそう簡単ではありません。例えば、DVがあったかどうかは家庭内のことであり、証明が難しく、ほとんどのケースは強制的に元いた場所に引き戻されます。

そもそもアメリカでは、DVは刑法ベースで取り扱われ、日本は民法ベースのですし、子の親権問題にしても、日本では子の親権問題は子の国籍国の法である本国法主義をとっていますが、アメリカなどは居住地法主義をとっており、トラブルの両国が同じ本国法主義であれば問題はありませんが、これが異なると問題です。さらに、親権問題でも、日本は単独親権、欧米は共同親権と思想が異なり、国内法との矛盾も解決しなければなりません。

この条約で、連れ去った子供を元の居住地に戻さなくてもよいケースは下記の2つです。

①「子を肉体的、精神的な危害にさらす」または「子を耐え難い状況に置く」重大な危険がある場合。

②子が返還に反対の意思を示し、子の意見を聞くだけの年齢に達している。

これとても、この証明は難しく、また、アメリカなどでは、子供に意見を聞くことそのものが、年齢にもよりますが、子供の精神衛生上よくないと言うことで、聞くことにならないとか、とにかく問題がありすぎて、単純にこの条約に基づいて事を処理しようとしても、金はかかるし、問題は山ほどあり、事を裁判所で解決しようとしても、まずは満足いくような解決は無理でしょう。

日本の全国紙の新聞の投書欄で、こうしたケースに実際に遭遇して、お悩み相談をしていた方々の記事を読ませてもらいましたが、私の感覚では、こうした条約の適用問題以前に、初めて会って1週間で結婚して子供をもうけたが、旦那がDVで日本に子供を連れて帰ってきたという方などは、やはり結婚は色々なケースがあるのでしょうが、どうして1週間で結婚できるのかよくわかりません。特に外国であればもう少し慎重でも良いのではと思ってしまいます。

昭和30年代、私が若い頃は、欧州に皆仲間も独身で赴任しており、当然ながら、当時でも国際結婚した仕事仲間は多かったです。

イタリア人と結婚し、最終的には日本に住んで子供たちも日本語も出来ましたが、奥様の作る料理はやはりオリーブオイル主体で、旦那は週末にそば屋でそばを食べるのが楽しみだと言っておりました。やはり、食事問題は一生のことですので大きいことです。残念ながら、旦那は日本で定年を待たずに亡くなり、家族はイタリアに帰ったようです。

また、ドイツ人と結婚し、離婚。その後、モスクワでロシア人と結婚しましたが、その方とも離婚した人や、フランス人と結婚し、離婚せずに、年をとってからは夫婦が日本とフランスでそれぞれ別居されている方、東南アジアで現地の女性と結婚したゼネコンの方や、タイ人と結婚し、携帯で年中居場所をチェックされるとうれしそうに悩んでおられた方など、国際結婚色々です。

しかし、これからの若い方は、私たちの頃とは事情も異なり、より国際的なおつき合いも多く、且つ深くなると思いますが、こうしたトラブルも人生では大いにあり得る話ですので、その際は何とか自力で話し合い解決ができればベストですし、そうでない場合はとんでもない金と時間と労力がかかるということを、しっかり自認した上で決断されることをおすすめします。