キレる老人、暴力沙汰が急増!

法務省の犯罪白書によれば、最近、老人の暴力事件が急増しているそうです。勿論、老人人口が増えたのですから不思議はないのですが、異常な上昇スピードだそうです。

サラリーマンの給料は上がりそうで上がらず、老人の年金は突然のように引き下げられ、国家の健康保険料も高く、介護保険料は年金から強制的に引き落とされ、住民税も都会では異常に高い! 消費税が高いなんて考える余地もない! 何も買うつもりがないから良いようなものの、飯くらいは食わねばならない。

ある現役のサラリーマンに、どうやって家計を切り詰めているかと聞いたら、まずは食費で、奥さんはもやしばかり買うので、子供たちは「もやしは嫌い、もう飽きた」だそうで、旦那は今までは昼飯代として月に1万5千円ばかり使っていたが(多分オフィス街の外食で一食600~700円くらいでしょう)、子供が幼稚園に弁当を持って行くようになったので、家で作ってもらっているという。

コンビニやスーパーに夜少し遅く行くと、店員さんが半額のシールを貼るのを待っていて、それとばかりにおにぎりや弁当などを買っていく人が大勢います。私の仲間でも、そうした弁当や菓子パンなどを昼飯にしている人もいますし、昼間、コンビニでおにぎりやサンドイッチを買うにしても、おにぎりが安売りの日には、普段買わない「いくら」や「たらこ」のおにぎりを一個100円で買って、俺の昼飯の方が安いと自慢し合っています。

話を元に戻します。キレて暴力をふるった老人のケースとして、NHKは元大学教授の話を取り上げていました。定年になり、家の庭の植木の刈り込みや近所の散歩など、私から見れば優雅な生活を始めたわけです。しかし本人によれば、外との接触がめっきり減り(当然ですね)、すごい阻害感に襲われているという。

それで散歩に出たあるとき、バイクに乗った若者と口論になり、自分も少しこいつにはかましてやらなければならないと思って、結果として、先に手を出してしまったのだそうです。駆けつけた警察官の仲裁で、結果としては先に手を出したので、謝って事を納めたそうです。

また、同じ方が近所の老人会の会合で、何時までもぐちゃぐちゃ言っている人に、「何時までくだらんことを言っているんだ!」と、怒鳴りつけたそうです。こっちは時間がないんだから、さっさと議論を進めろ、というような話だったようです。

しかしNHKさん、これは少しサンプルとしては違うのではないかと私は違和感をもって見ていました。まず、大学を退官して、立派な一軒家にご夫婦で住み、庭の手入れやご近所での散歩と、こんな優雅な生活が送れる状況の老人はそうざらにはいません。私はこの方の職業が大学教授であったということで、もしかしたら長年学校という教育の場におられて、我々サラリーマンのように、怒られたり、時には殴られ、いじめられたりといった経験はほとんどなく、上から目線で生きてこられたのではないかと想像してしまいます。

「疎外感にさいなまれている」と言っておられましたが、それは贅沢な悩みであって、老人会でも、自分が疎外されるような発言や態度をとれば、自ずとその仲間からは外されるのは、人という群れの営みからすれば当然の話です。

こうした人たちよりも、実際には疎外感などという抽象的な話よりも、生活そのものが成り立つかどうかが心配で、生きた心地もしない、あるいは現実に生きられないというような老人がいっぱいいるはずです。むしろ、そうした人たちの現実の生活問題を政治問題化して、日本の仕組みをどうしたらいいのかを考えないと、単に老人の暴力沙汰が多くなったという現象は解明できないでしょう。

最後に、愛知県の60代の女性の投書で、「私は豊かな老後を過ごすために、ひたすら一生懸命働いて、贅沢もせず、子供も育て、今までやって来たと思ったら、税金は高い、年金は引き下げられ、今後豊かな生活どころか、先が全く読めない不安を抱えるようになってしまったのは、何とも納得がいきません」という話には、私などは全く同感で、年をとってから生活の構造を変えるとか(例えば仕事をする)、新しい発想で何かを始めるというようなことは、若い頃なら何とでもなるが、これはほとんどの人にとって、とても難しい話であることを付け加えておきます。

結果としては、「のたれ死にするしかない!」というのも、老人の悪態の、暴力の形態なのかもしれません。