母と娘

こんなタイトルで、最近の母娘事情を報道していました。何が問題なのかと良く聞いてみると、母親が60台後半で、娘が40才丁度くらいの親子の問題です。

この母親時代はまさに団塊の時代で、自分もキャリアーウーマンとして一生懸命働いたりしたが、結局は家庭に入り、専業主婦を長年やってきた。そして娘を産んで、育てるに当たって、自分が出来なかったことを娘にはさせようと、お稽古事に、そして女性として自立するために、大学院まで出させ、育て上げた。娘はそのおかげで大学の教授になり、且つ結婚して家庭を持ち、子供にも恵まれて、母親の理想とするものをすべて手に入れた。

それで、母親と同居することになり、生活を始めると、母親の娘に対する態度が急変し、攻撃的な言葉ばかりが口をついて出てくるようになった。娘はその母の言葉が重くて、とても耐えられなくなって、結局は同居を解消し、母親には出て行ってもらったという。

普通、娘と母親は結構仲良く、友達のような感覚で年を取ってもつきあえるなどという話も聞いていたので、私には良く理解できない話であった。

TVキャスターが双方に聞いてみると、母親としては、どうも焼き餅焼き的発想で、ついどぎつい言葉を娘に発してしまうという。しかも、娘がそれで深く傷ついているとは思っていないようだ。娘の方は実の母親でもあるにもかかわらず、これだけ攻撃的なことを言われると、何とも重く感じられて、耐えられないという。

それを心理学者が解説していましたが、娘が母親の言葉を「重く感じる」というのは、まだ娘が母親を愛しているから重く感じるわけで、親子の断絶というわけではない。しかし、このような話は世間にいくらでもあって、母親である自分だけが努力し、子供のために一生懸命尽くしてきたが、年を取った今、自分は何だったんだろう?という事のようです。

カウンセラーの話によれば、単純に、母親の娘離れが出来ていない、出来れば自分の趣味などを見つけて、自分は自分、娘は娘という立ち位置で距離を置ければスムースな接触が出来るでしょうと言っていました。

世の中色々な人がおり、色々な家庭事情で、ケース・バイ・ケースですが、一般的な傾向というのはありそうです。

私ども男から見ると、どうも母親と娘というのは女同士で、基本的には仲は良いのですが、動物学的に言ったら、親子であると同時に、どうも女性として「競争相手」ではないかと思われるような場面を経験することがあります。だから娘が成長し、母親から見れば理想的な立場を得ると、自分と比較してやりきれなくなる、自分が惨めになってしまうというパターンではないかと思います。

では、娘から見た父親はどうかと言えば、普通は頑固で、近寄りたくないというのがパターンのように思えますが、最近の若い父親は娘に優しく、お父さん「だーいすき」と言う娘さんが多くなっているようです。しかし、父親が再婚し、後妻さんが来るとどうなるかというと、どうも娘は、先ほど述べたように、女同士は競争相手と思っているのか、あるいは、娘は父親を特に理由なしにかばうと言うか、面倒を見るというか、とにかく後妻さんにはきついようです。

そこへ行くと、息子の父親に対する態度は、出来れば近寄りたくもないし、話もろくにしたことはないというのが、最近の大方の大学生の感想でした。そこで生まれ落ちてこの方、母親は当然としても、父親だって、あんた方を育てるのに稼ぎまくって、学費を出しているのも事実だろうから、たまには人生の先輩として、大人同士の話でもしてみたらどうかというと、結構素直に、話してみたら、親父の若い頃の話も聞けて参考になったという。

残るは息子と母親の関係だが、これは一般論では分かりませんが、息子が母親に対して、可なりべったりの場合、結婚しても、母親に色々と意見を聞いたり、勿論自分の子供を預けたり、面倒を見てもらったりするのは良いとして、母親の側からも、息子と一緒に外食をしたりすることが大好きな母と息子という関係は結構あるようです。

その場合、難しいのは、息子に対する母親と、息子の嫁に対する姑の立場では、微妙に違いがあり、母親自身がどう対応すべきか、難しい場面が多いようです。勿論色々気を遣うのは結構なことですが、私ども男の立場からすると、もっとシンプルに行かないものかと思ってしまいますが、そんなことを言えばたちどころに怒られてしまいます。

まあ世の中、大家族時代は、人間が群れて生活をせざるをえないので、こうした問題はあっても、動物的感覚で生きていけますが、だんだんと、少子化、小家族になると、親子だけ、場合によっては、親1人子1人で長年生活を共にし、「群れ」という訓練なしに社会に出ると、色々な問題が起こっているのが現代かと思っています。

今年もお付き合い頂き有り難うございました。来年はどんな年になるのでしょうか。皆様にとって良い年でありますようお祈り申し上げます。