消費税値上げ(風吹いて、誰が儲かる?)

消費税を来年4月に3%、再来年には更に2%上乗せして、合計10%にするという。これに対して、企業の税金を引き下げたり、東北の復興税を前倒しで中止したり、子供や老人対策として、色々といじくっているようです。一体このような風を吹かして、誰が儲かるのか、個別に問題を少し考えてみたいと思います。

まず、我々老人の医療問題ですが、75才を過ぎると何が何でも「後期高齢者」として扱い、今までとは別個の扱いで、請求書が来る。年間何十万円払って、使うのは年間500円から700円程度(初診料+風邪薬)。

それは百歩譲っても、問題なのは、1円も払わなくて良い方達が大勢いる。それが故に、なんだかんだと具合が悪い理由を付けて医者に行くと、医者は薬を、毎食茶碗一杯ぐらいの薬を出す。私もしつこいので、親戚の薬剤師をやっている女性に調べてもらうと、その通りだという。これがあるから町医者は食っていけるという。

また別な薬剤師の話では、結構まじめな方らしく、医者からの処方箋を見て、「これとこれはいらない」と指摘をするので、年中薬局を首になっているようですが、本人は飯が食えているんで、別に首になっても、患者のためになることを言っているだけと飄々としているようです。

冗談じゃない、自分たちは減らされ続ける年金から、無理してジムに金を払ってでも、健康維持と称して、長年酷使してきた体を何とかしようと、自己資金でがんばっている。人間70年以上も使い続ければ、どこか部品がいかれてくるのは当たり前。

昔は金もないし、ろくに医者もいない場所で、薬もなしで、脳溢血だって、じっとして直してしまう時代だった。私の父方の明治3年生まれのばあさんが、2度脳溢血で倒れて、自分で回復し、やっと3度目に倒れたときに、あの世に行った事実があります。

そのばあさん曰く、「お前なー、人生どうにもならなくなったら、のたれ死にゃいいんだ! だから何でもがんばって飯を食わねば!」と言いつつ、私が受験勉強している部屋の扉をそっと開けて、「勉強してるか?」と私の勉強の邪魔をしていた事を思い出します。明治の人は偉い!

世の中こんな立派な健康遺伝子を持った人ばかりではないでしょうが、本当に病気で困っている人は、大いに近代医学の恩恵に浴したら良いと思います。しかし、何でもかんでも御上が面倒を見てくれると思って、甘えの構造が蔓延しているのも事実です。

日本は古来、総じて豊かな国であったために、災害や飢饉はあっても、他の国に比べれば比較的人災は少なかったはずです。だから日本人の文化の中に、他人を思いやる心とか、おもてなしの心とかが定着したのだと思います。他の国では、場合によっては、自分が生きるために、盗みは勿論、時には人殺しだってやらざるを得ないような国だって多かったはずです。

しかし、最近の都会の状況を見ると、隣は何をする人ぞ、名前も知らなきゃ、挨拶もしない。突然人殺しも平気でやる。こりゃ、間違いなく人災です。やっと日本も欧米先進国に近づいたなどとうそぶいている場合でもなさそうです。

生活保護費や介護問題なども問題大ありでしょう。まじめに安給料でこき使われるより、生活保護費の方が良いケースも多いようです。又、介護の人材が不足、あるいは、いても低賃金なので、辞めるか、就業しないかで、常に人材不足の状態だそうです。これ等も間違いなく、仕組みの問題だと思います。人災です。

しかし、一番問題なのは、政治家や役所、地方自治体など、これらは総元締めであったり、実施窓口であったりするのですが、どう考えてみても、戦後60年以上70年近く経っていて、戦後の右肩上がりから、現在の少子高齢化、経済のグローバル化、国内商売機会の減少、社会インフラの老朽化、どれをとっても、それ行けどんどんの世界から全くの様変わりなのに、役所などの仕組み、組織、人材等、ほとんど変わらず、人だって足りない、足りないと言っていますが、彼らの仕事を我々民間がやったら、多分半分の人材でも仕上げるのではないかと思えます。

第一、あの霞ヶ関も県庁のビルも皆立派になりましたね。高級なビルを建てるのが悪いとは言いません。金があればやったらいいと思いますが、それでもあれだけの建物を建てる前に、それぞれの都道府県でやることが山積みなのでは無いでしょうか?

暮らしは高く、思いは低く!とは、英国の詩人は言っていません。

経団連の会長も務められた土光さんはよく、「暮らしは低く、思いは高く」を実践されていたようです。今の経団連の社長さんたちは、安倍総理から、税金を下げたのだから、給料を上げてくれと頼まれたとか聞こえてきます。しかし、今の経団連のどれだけのメンバー会社が、真剣に社員の事を考え、人件費はコストではなく、投資なんだと考えているのでしょうね?

最近は「ブラック企業」等という、人材使い捨て企業にたいする言葉が流行っています。ほんとに必要な人材を育てるなどというまどろっこしいことはやっていられない。即戦力が必要だから、中途採用をやる、それが終わったら、お払い箱。OBだって、優秀な技術者が、韓国や中国の競争相手に移動する。これを裏切りとか言うけれど、当たり前の話で、それだけの処遇を日本企業がしてこなかっただけ。

それでいて、最近は右肩上がりの時に現場で経験した人材がいないという。空調の効いた部屋で「紙と鉛筆」ではなく、「パソコンとメール」と「金」だけで、三択問題学校の優等生は何の経験もなく、経験もさせてもらっていない人材に、良い投資先を探せといわれても、困ってしまうでしょう。そんな話をばりばりの現役から耳にします。

さて、消費税値上がりの風が吹いて、一体誰が桶屋になるのか? それとも桶屋は桶屋でも棺桶屋で、皆がのたれ死にするのか? しばらく様子を見てみましょう。