叱られたいと思っている若者

叱られたいなんてほんとかいな?と思って聞いてみると、ある女性が大事な仕事を引き継がずに休んでも叱られなかったことに不安を感じ、自分に親身になって叱ってくれる親友が欲しいと思ったという。

彼女は、大事な仕事を引き継がずに休みを取ったので、当然休み明けにこっぴどく叱られると思ったら、他の人にやってもらったので問題ないと言われて、一言も怒られなかったそうだ。

ここからが問題で、彼女がどうしたかというと、ネットで見ず知らずの人にこのことをつぶやいて、叱ってくれる人を求めたという。

また、別のケースでは、おじさんアドバイスとか何とかいう商売をやっている人がいて、話を聞いて叱ってあげて、1回千円だか2千円払ってもらうという。

実際に、喫茶店などでそうした人に話を聞いてもらい、叱ってもらうというよりアドバイスをしてもらうことで、「なるほど」と思って自分の悩みを解消しているという。

この二人とも、個人的な話というよりは仕事の悩みで、誰か叱ってくれないか、あるいは適切なアドバイスをしてくれる人がいないか、ということのようです。

一番に疑問に思ったのは、まず学校卒業して、社会の現場に出ている年頃の人が、一体「親友」と言えるような友達が一人いないのかということです。人間生まれてから、幼なじみ、学生時代、サラリーマン時代、趣味の集まり、スポーツ仲間など、何らかの群れで生活しているわけですが、その間に一人も親友という付き合い無しで過ごしてきているとしたら、相当精神的に強い人か(一匹狼で生きていける人)、もしくはよほど気が弱く、人付き合いが出来にくい人かのどちらかでしょう。どちらにしても、私からすればすごい人たちだと思います。

しかも、最初の女性は、ネットで縁もゆかりもない人からアドバイスか慰めか知りませんが、意見をもらって少しは気が休まったようですが、そんな程度のことがどうして「自分を叱ってほしい」という話に繋がるのか、私にはよく理解できません。

そもそも、会社生活なんてある意味簡単で、経済原則で動いている社会の中で仕事をしているわけで、嫌な上司とか、理不尽なことをいう上司とか、叱ってくれない上司とか、色々いるでしょうが、所詮会社仕事ですから、それこそ親友と飲みながらでも話をしておしまいか、あるいは自分で考えて処理しておしまいか、それでも自分は気が弱くて、誰にも相談も出来ず、すべて自分でかぶって、落ち込んで、最後は精神的に参ってしまうという方もおられるでしょう。

そういう方こそ、命に関わるほどの悩みであれば、親友に相談したり、親に相談したりすべきですが、おおかた会社のことは、病的でない方以外は、基本的に考え方一つだと思っています。そもそも人と付き合えない、あるいは一生に一人も親友がいないというのが問題なのかと思います。

一般的に、人と人との関係で言えば、親子、兄弟、夫婦、親戚縁者、恋人など、私的な関係の方がよほど面倒くさいし、ややこしく、それに比べれば、会社関係などは考え方一つで、簡単な話だと思います。

しかし、一番大事なのは、やはり生身の人間同士が、付き合い無しで生きていくということそのものが大変なことで、「人は一人では生きていけない」ということさえしっかりわかっていれば、何とかなる話ではないでしょうか。

結論的に言えば、先の例の女性も、私からすれば、「叱ってほしい」というは「甘えの構造」でしかないということではないでしょうか? こんな女性をまともに叱ったら、愛されてしまった!!なんていうことがありそうですね!? 桑原桑原!!